息子が6歳になりました。私もお母さんになって6年、自分のことを「お母さん」と言うのにも慣れました。自分が自分のことを「お母さん」と呼ぶなんて以前は考えもしませんでしたが、ほかにも産む前と産んだ後ではガラッと変わったことがたくさんあります。
例えば子どもを産む前は、電車に遠足の子どもたちが乗っていたら「うるさいからほかの車両に…」と避けていました。でも今はよその子でも「かわいー! 年長さんかな? どこ行くの? 楽しんでおいでな!」と思います。新幹線でも近くの席に赤ちゃんがいたら「わー、泣いたら嫌やな…」と思っていましたが、今は「帰省ですか? ママ一人で? 大変ですね、赤ちゃん泣いても私ぜんぜん大丈夫なんで! なんなら手伝えることあったら言うてください!」みたいな気分です。子どもの写真を待ち受けにしているのを見ても「毎日顔見てんのに、わざわざ…」と思っていましたが、今ではもちろん待ち受けです。
あと、育児や家事より、仕事のほうが断然大変だと思っていました。「育児が大変って言っても、自分が生んだかわいい子どものお世話でしょ? ミルク飲ませてオムツ替えて時々あやして寝かせるだけでしょ? こっちは海千山千のおじさんたちを相手に、お金が絡むシビアな仕事をしてるんやから!」って。
でも産んでわかりました。この「ミルク飲ませてオムツ替えて時々あやして寝かせる」のがとにかく大変。一つずつに時間がかかるし、回数も多いので、書いてみるとたったこれだけのことですが、1日つぶれました。それから仕事はお金が絡みますが、育児は命が絡むので、「もうええわ」と放棄できません。自分が産んだかわいい子どもなら、なおさらです。
会社に勤めているころは、既婚子持ちの男性社員を見て「会社でこんなに必死で働いてんのに、家に帰って専業主婦の奥さんの愚痴聞かされるとか大変やなあ…」と思っていましたが、今となっては「早く帰ってしっかり愚痴聞いて、子どものお世話も手伝って!」と思います。本当に、立場が変わればこんなに変わるもんですね…。でも産む前に自分が感じていたことも、忘れないようにしないといけないな、と思います。
そして去年の3月から書かせていただいたこのコラムも、今回が最後です。「文章を書くのは好きやけど、書きたいことがないからコピーライターになった」と言っていたわりには書きたいことが思いの外たくさんあって、私、心はおしゃべりだわ、と驚きました。ブラック(っぽい)企業で楽しく働いていたこと、自社のエア株主総会のこと、自分も息子もひとりっ子なこと、ひとりカラオケのこと、本当に楽しく書かせてもらいました。自分の心の中にくすぶっていたあれこれを、書くことで成仏させてもらったような気がします。
執筆の機会を与えてくださったこと、心から感謝いたします。そして読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました!(まだまだ書きたいことがありますので、執筆のご依頼がありましたらシカトキノコまで)
(こんりんざい・せめこ、大阪市東成区)
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