一人息子が、来年小学生になります。早い。ついこの前産んだと思ったのに。成長がうれしい反面、寂しくもあり…時間は前にしか進まないことを痛感します。もうあのぷくぷくほっぺの赤ちゃんには、2度と会えないのです。
とまあ、私はセンチメンタルお母さんなので息子の成長にいちいち涙するのですが、私の母はと言うと、全くそんなことのない人でした。私も一人娘なので、成長がさぞ寂しかったであろうと聞いてみると、「そんなん思ったこともない」と一言。私が一年一年大きくなるたびに、よっしゃミッションクリア!みたいな感じで、達成感しかなかったそうです。
私がひとりっ子なのも、「もう一人産んでたら仕事復帰が遅くなるから、もう一人でいいかなと思った」とのこと。選択的ひとりっ子ですね。「一人はかわいそうだから、兄弟を…」なんてことは思わなかったそうです。本人は8人兄弟なんですけどね。でも8人も兄弟がいる人が、ひとりっ子で良いと判断したというのは、なんだか説得力がある気がします。
母はしっかり自分の人生を生きている人だったので、私に何かを期待したり、自分の夢を背負わせたりするようなことはありませんでした。お互い全然タイプが違うので、「この子に私の夢は無理やろ」と諦めたのかもしれませんけど。ずっとフルタイムで仕事をしていたこともあり、必要以上に私をかまうこともなく、どちらかと言うとほったらかし。ひとりっ子は甘えたで親にべったりと思われがちですが、他の兄弟と比べて自分が愛されているかどうかの心配をしなくても良いので、親子関係はむしろあっさりしていたように思います。
ただ唯一びっくりしたのは、私が結婚する時。こぢんまり海外で挙式しようかと考えていたら、「せっかくやのに誰もおらへん海外で結婚式するやなんて…!」と泣かれました。いやいや、いとこが海外挙式したときは「2人だけで海外っていうのもええね」って言うてたやん。私の結婚にそんな思い入れがあるなんて想像もしていなかったので、結納に備えて客間を改装したり、小さいころ習っていたピアノの先生にも報告したりと予想外の行動に驚きましたが、それだけ喜んでくれたのだと前向きに捉えています。娘、結婚!最大のミッションクリア!と思っていたのかもしれませんが。
遅まきながらも孫ができて祖母になった母は、子育て時代のことをすっかり忘れているようで「子どもってこんなに笑うねんな…」とゲラゲラ笑う息子を見てしみじみとしています。母も共働きのワンオペ育児だったので、さぞかし忙しかったんでしょうね。今では息子のいちばんの遊び相手になってくれて、私が忙しいときはうちに泊まり込みで助けに来てくれます。この前10日ぐらいお願いしたら、「ええ加減にしいや」と怒られました。
長く続けていた仕事も昨年やめて、今は友達と旅行に映画にグラウンドゴルフにと忙しそうです。今も母が、自分の人生を生き生きと生きていてくれることに感謝します。私もひとりっ子の親として、将来息子に寄りかからないように、自分の人生をきちんと生きねば。(ちなみに父のことが1行も出てきませんが、父もすこぶる元気です)
(こんりんざい・せめこ、大阪市東成区)
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